大阪では本日が映画『さあ帰ろう、ペダルをこいで』の初日だ。月曜からシカゴへ行く私は、今日しか機会がないと考えて、早速観てきた。
映画は一青年の再生の物語だ。いや、家族愛を謳ったものか。体制に翻弄される人間ドラマとも云える。ロードムービーでもある。そしてバックギャモンの映画なのだ! 全編にバックギャモンが登場し、それだけで私などは無性に嬉しくなる。
物語の大きな軸は記憶を失った青年が再生していく過程にある。しかし主人公はむしろ
その手助けをする祖父だろう。時には手荒く、そして愛情たっぷりに接して懸命に孫をサポートする。このおじいちゃん役のミキ・マイノロヴィッチを私は気に入った。
共産主義体制にあらがおうとする父と母の苦悶もたっぷり描かれている。1980年代であっても、圧政が東欧の人々にのしかかるのだ。この辺は現代史に詳しい人ほどよく理解でき、ドラマを楽しめるのではないだろうか。ちなみに筆者の知識は極めて乏しい。
最後にはあっと驚く仕掛けも施されているので、お楽しみに。
それにしても欧米人はスキンシップをたっぷり用いて愛情表現を行う。抱きしめ、ほおをくっつけて。男同士でそこまで、などと思ってしまう。いつか日本人もこのような表現を行う日が来るのだろうか。
私はバックギャモンの対戦で負けるとかなりこたえる。今日も名人戦決勝トーナメント一回戦で山本さんに負かされてかなりどんよりした気分になった上、パフォーマンスレーティングが4.0だったのを見て、とことん落ち込んだ。
しかしこの映画を観て、戦争、社会体制、災害等個人の意志であらがいようのない障害はたくさん存在すると、あらためて認識させられた。自由にバックギャモンをプレイできる環境にある私は相当な幸せ者だ!